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    コラム

    社会に出た時の準備 キャリア教育について
    (2010年1月18日)

     キャリア教育という言葉をご存知でしょうか。教育関係者であれば、よく耳にする言葉かと思いますが、一般にはあまり聞かれない言葉かも知れません。キャリア教育と言葉からすると「キャリアウーマン」や「キャリア組」のような印象を受けますが、そのような類(たぐい)ではなく、全ての子ども・10代の若者を対象として「仕事を知る・触れる」ことを行い、自分の将来を少しずつ考えてもらうことが目的の学びと言えます。


     こうした教育が出てきた背景には、現在でも問題になっている「ニート・引きこもり」などの問題があると言えます。ニートは厚生労働省の定義では、2003年で200万人以上のピークを向かえ、以降は下がっているようですが、じょじょに高齢化が進み、過去ニートであったものがなかなか社会復帰できずにいるようです。一時期は、ドラマで紹介されるなど、社会現象であるとも感じられました。それまで勉強を懸命に頑張っていた学生が、大人になり、ある日突然仕事を辞め、それ以降家に閉じこもったまま、という姿は親だけではなく誰から見ても悲しいことだと思います。


     物が足りない時代(物の供給が必要と感じる時代)であれば、仕事をする意義は誰の目にも明らかですが、物が溢れた現代の若者には「働く」ことが「当然」にはならない場合があるようです。あくせく働かなくても、「生きてはいける(気がする)」ことが大きな要因かも知れません。ただ、そうした人が増えた中で現状の日本社会がこれからも続くとは言えないので、結果的に自分達に首を絞めることになるとも限りません。


     物が溢れた時代に育った子どもには、「生きるため・お金の得るための仕事」ではなく、「自分の成長のための仕事」というより高度な意識を与えていく必要があるのだと思います。高度といっても、そのきっかけは元々子ども達に備わっていると思います。それは、「ヒーローはかっこいい」という気持ちです。2?5歳児くらいの子どもが、テレビなどのヒーローに憧れて、ヒーローの真似をしたりします。ヒーローは辛いときにも諦めず、敵に向かって戦いを挑み、そして勝ちます。その姿がカッコイイと思い、僕も/私もそうなりたいと思っているはずです。


     テレビの中だけに限らず、仕事で働く大人も同じです。辛いことがあっても諦めず、辛いことに立ち向かって頑張り、そして乗り越えます。そうした(テレビの中ではない)生きたヒーローの姿は、小さい子どもだけではなく、小学生・中学生・高校生・大学生、大人になってもカッコイイと思うものです。ヒーローの姿を見せていけば、「いつかはああなりたい」と思うものです。そのためにはコツコツ努力して、辛くても諦めない気持ちが必要であることも、いずれ気が付くと思います。


     しかし、残念ながら現代の子ども達にはそうしたヒーローの姿を見る機会は少ないと言えます。多くの社会人は会社など家から離れた職場に向かうので、子どもにはその姿がよく見えなくなってしまうのです。


     キャリア教育とは、そうしたギャップを埋めるために生まれた教育と言えますが、しかし、これまで学校と企業との接点が少なかったため、いきなり連携をしようとしても難しいところがあります。そのためキャリア教育の実践には、学校と企業(社会人)の仲介者が必要と言えます。その仲介者は、各地域に少しずつ増え、少しずつ経験を積んでいると思われます。(その効果がニート人口の減少につながっているのかも知れません。)







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